
勝手に恒例シリーズに位置付けている航空業界2社の決算比較!
今回は 2025年3月期 第2四半期(中間期) の決算が10月に出揃っていましたので、遅ればせながら状況を見ていきたいと思います。
2023年度通期決算
この記事の結論
- 売上は両社ともに絶好調! インバウンド・国際線需要で過去最高レベルへ。
- 利益は「減益」へ反転。 燃油費高騰・円安・人件費アップが重くのしかかる。
- 稼ぐ効率(利益率)はANAがJALを逆転?! 規模のANAが強みを発揮し始めたフェーズへ。
業績比較(全日本空輸ANAと日本航空JALの比較)
両者をわかりやすく比較するために以下のような表にまとめています。
※会計基準が日本基準とIFRSと異なりますので、厳密には比較が正しくない可能性がありますが、ご容赦ください。
発表資料・決算短信・損益計算書など
両社の比較は昨年からの推移を見てみたい思います。
通期の売上高と営業利益を比較しています。
両社の2025年4月~9月(半年間)の成績表です。
※JALはIFRS(国際会計基準)、ANAは日本基準のため単純比較はできませんが、目安として並べます。
| 項目 | ANA(25年3月期 中間) | 前年比 | JAL(25年3月期 中間) | 前年比 |
| 売上高(収益) | 1兆1904億円 | +8.3% | 9,839億円 | +9.1% |
| 営業利益(EBIT) | 976億円 | △9.9% | 1097億円 | +28% |
| 営業利益率 | 8.19% | 低下 | 11.2% | 改善 |
| 純利益 | 760億円 | △5.8% | 676億円 | +35.6% |


一目瞭然の結果となりました。
- ANA: 売上は1.2兆円に迫る勢いで増収ですが、利益は約10%ダウン。
- JAL: 売上はANAより2000億円少ないですが、利益は約28%アップし、額でもANAを逆転。
なぜ、これほどの差が生まれたのでしょうか?
※正確にはIFRSと日本基準会計の違いがあります。
【分析】なぜJALは「売上が低くても」ANAより儲かったのか?
ANA:規模の拡大とコストの板挟み
ANAは国際線の旅客数が好調で、売上規模(トップライン)を順調に伸ばしています。しかし、その分だけ「運航コスト」も膨らみました。 燃料費の高騰、人件費の上昇、そして円安による海外支払いの増加。これらが売上の伸びを食いつぶし、結果として「増収減益(忙しくなったのに手残りが減った)」という状態に陥っています。
JAL:徹底した「高収益体質」への転換
一方のJALは、コロナ禍を経て「損益分岐点を下げる」経営努力を徹底してきました。 IT活用による業務効率化や、不採算路線の見直しなど、「売上がそれほど伸びなくても利益が出る体質(筋肉質な経営)」を作り上げていたのです。
その結果、コスト増の波を乗り越え、利益率11%超という驚異的な数値を叩き出しました。
【提言】御社の経営は「ANA型」ですか?「JAL型」ですか?
これを読んでいる経営者の方に問いたいのは、「あなたの会社は、いまどちらのタイプに近いか?」ということです。
- ANA型経営(売上重視): 「とにかく売上を上げろ!」と号令をかけ、規模は大きくなっているが、忙しさの割に利益が残らない。経費削減や効率化が後回しになっている。
- JAL型経営(利益重視): 無理な売上拡大は追わず、社内の無駄をITで削ぎ落とし、1件あたりの利益率を高めている。外部環境が悪化しても揺るがない。
※実態とは異なると思いますが、極端な比較でお話ししております。
これからの時代、人件費や原材料費は上がり続けます。「売上さえ上げればなんとかなる」というANA型の発想のままでは、いずれ資金繰りが苦しくなるのは目に見えています。 目指すべきは、JALのような「高収益で筋肉質な経営」です。
【解決策】まずは「現状把握」から始めませんか?
「ウチは無駄なコストが多い気がするが、どこから手を付ければいいかわからない」 「ITを入れて効率化したいが、何から導入すればいいのか……」
そうお悩みの場合は、ぜひ一度プロの視点を入れてみてください。
Salabatoでは、以下の2つのアプローチで御社の「高収益化」をサポートします。
- 経営診断サービス 決算書を分析し、御社の利益を圧迫している原因を特定。「どこを改善すればJALのような利益体質になれるか」を具体的にアドバイスします。
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