中小企業診断士学習は継続中です!
今回は過去問を取り上げたいと思います。
学習中だとどのように着目すればよいかわからないよね!
タグで「事例Ⅰ」に関連する項目は見ることができます!
診断士の学習をしない方も、どんな問題がコンサルの試験になるのかを見てみると面白いと思います!
令和1年事例Ⅰの問題
過去問は1次試験も2次試験も以下のリンクから、見に行くことができます。
企業概要
様々な要素がありますが、それは後程本文でご確認いただくとして、概要を抜粋すると以下になります。
- 資本金8000万円
- 売上約11億円
- 産業用機械製造メーカー
- 副社長は弟、専務はいとこ
設問解釈
長い本文を読むには、先に設問を解釈してから本文を読むことが必要です。
そのために、「設問解釈」から始めたいと思います。
第1問
A社長がトップに就任する以前のA社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。 それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。
答えるもの:メンテナンス事業が成功しなかった最大の(一つだけに絞る)理由
サラバト解釈(与件文に探しに行く):自社製品に絞っているので、リスク分散はできていなさそう。
「ビジネスとして成功していない」ということは、ほかの何かで成功しているのか?
第2問
A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。 その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。100字以内で答えよ。
答えるもの:古い営業体質の背景にある「企業風土」
サラバト解釈(与件文に探しに行く):高コスト体質の要因はそもそも何か?
古い営業体質とはどんなものか?
第3問
A社は、新規事業のアイデアを収集する目的でHPを立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHPに期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。 その成功の背景にどのような要因があったか。100 字以内で答えよ。
答えるもの:成功の「背景の要因」
サラバト解釈(与件文に探しに行く):試験乾燥というサービスはどんなサービスか?
HPに期待する本来の目的とは何か? 成功とはどんなことか(顧客獲得か単価アップかなど)?
第4問
新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていたA社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
答えるもの:新規事業に社員が積極的に取り組むようになった要因
サラバト解釈(与件文に探しに行く):明確にした事業領域とは何か? 営業社員のモチベーションは何があるのか?
第5問
A 社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。
答えるもの:組織再編を見送ることにした最大(一つだけ)の理由は何か?
サラバト解釈(与件文に探しに行く):
本文との対応
本文も以下をご覧ください。
https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2020/a2ji2020.pdf問題との対応は以下のように考えていきます。
第1問
A社長がトップに就任する以前のA社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。 それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。
本文から答えのヒントとなりそうなものを抜粋:
自社製品のメインは葉たばこであり、受動喫煙問題や耕作地の縮小で先行きが見えない。
メンテナンス事業については売上も費用も悪くなっていることは分かったが、詳細は書いていない。
答え構想:
本業に依存した事業のため、事業ポートフォリオが分散されていない。新事業のメリットがないという回答の方向性になっていくか。
第2問
A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。 その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。100字以内で答えよ。
本文から答えのヒントとなりそうなものを抜粋:
個別に営業が対応していることで、在庫を抱えているためコスト増加をしていくことになる。
また、前近代的な経理体制で全社の計数管理ができていない。
古き良き時代を知っている古参社社員≒参入障壁が高く補助金が出ていた時代のことか?
答え構想:コスト増加の要因などの指摘をしつつ、それは古参社員が中心に形成している「企業風土」が影響していると思われ、その形成要因は参入障壁や補助金などの保護であった。
第3問
A社は、新規事業のアイデアを収集する目的でHPを立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHPに期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。 その成功の背景にどのような要因があったか。100 字以内で答えよ。
本文から答えのヒントとなりそうなものを抜粋:
コアテクノロジーとして、「農作物の乾燥技術」を定義した。
試験乾燥とは、市場で乾燥をしたいものを顧客側に問うものであった。
営業のプレゼンも成功に寄与しているとのこと。
答え構想:
HPは一般的に片方向(発信のみ)だが、コミュニケーションツールとして活用ができている。
また、製品として、自社のドメインを定義するのではなく、技術にフォーカスしたこと。
第4問
新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていたA社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
本文から答えのヒントとなりそうなものを抜粋:
コアテクノロジーとして、「農作物の乾燥技術」を定義した。
社員の人員削減により、賞与が支給できるようになった。
答え構想:
発想が、製品ではなく技術出発で出るようになった。業績に対する当事者意識が、賞与支給などの外発的動機付けで高まった。
解いてみての感想
解いてみての感想は「何度も解いているが正解がみつからない」です。
「ドメインの定義」や「選択と集中」「事業ポートフォリオ」などが1次の範囲とは連動してくる部分ではないでしょうか。
私は以下の書籍を使って、答え合わせをしています。TACテキストも良いのですが、自分の回答と見比べづらく、一般的に推奨されている「ふぞろい」のほうがおすすめです。
ふぞろいも最新版が出るようですので、その場合はそちらがよいでしょう。
事例1、2、3は回答の正誤よりもどのような解き方で自分がつまづくのか・知らない知識があったのか、考え方の分岐で迷うのかという自分の思考回路を知っていくことが良いとも思います。
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