中小企業診断士学習は継続中です!
今回も過去問を取り上げたいと思います。
学習中だとどのように着目すればよいかわからないよね!
タグで「事例Ⅳ」に関連する項目は見ることができます!
令和1年事例Ⅳの問題
過去問は1次試験も2次試験も以下のリンクから、見に行くことができます。
企業概要
様々な要素がありますが、それは後程本文でご確認いただくとして、概要を抜粋すると以下になります。
- 資本金2億円
- 従業員70名
- 建材卸売業
設問解釈
事例Ⅳの場合は、処理のしやすさを優先するために「設問解釈」を行います。
第1問
(設問1 )D 社の前期および当期の連結財務諸表を用いて比率分析を行い、前期と比較し た場合の D 社の財務指標のうち、悪化していると思われるものを 2 つ、2改善 していると思われるものを 1 つ取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、当期 の連結財務諸表をもとに計算した財務指標の値を(b)欄に記入せよ。なお、(b)欄の値 については、小数点第 3 位を四捨五入し、カッコ内に単位を明記すること (設問2 ) D 社の当期の財政状態および経営成績について、前期と比較した場合の特徴を 50 字以内で述べよ。
答えるもの:優れたものを1つ、劣っているものを2つ。効率性・安全性・収益性の3つだろうな
サラバト解釈(与件文に探しに行く):効率性・安全性・収益性の3要素を本文とB/SとP/Lから考える。他にすぐ解けると確信が持てる問題がなければ先にやります。
第2問
D社のセグメント情報(当期実績)は以下のとおりである セグメント利益情報あり。
設問1
事業部および全社(連結ベース)レベルの変動費率を計算せよ。なお、%表示で小 数点第 3 位を四捨五入すること。
答えるもの:変動費率
サラバト解釈(与件文に探しに行く):これを落とすのはまずい・・最初にやろうか。
設問2
期実績を前提とした全社的な損益分岐点売上高を(a)欄に計算せよ。なお、(設問1)の解答を利用して経常利益段階の損益分岐点売上高を計算し、百万円未満を四捨五入すること。 また、このような損益分岐点分析の結果を利益計画の資料として使うことには、重大な問題がある。その問題について(b)欄に30字以内で説明せよ
答えるもの:正味現在価値を答える
サラバト解釈(与件文に探しに行く):問題の条件がすごくボリュームある。最後かな・・・
設問3
次期に目標としている全社的な経常利益は 250 百万円である。不動産事業部の損 益は不変で、マーケット事業部の売上高が 10 %増加し、建材事業部の売上高が不 変であることが見込まれている。この場合、建材事業部の変動費率が何%であれ ば、目標利益が達成できるか、(a)欄に答えよ。(b)欄には計算過程を示すこと。なお、(設問 1 )の解答を利用し、最終的な解答において%表示で小数点第 3 位を四捨五入すること
答えるもの:経常利益を達成するための売上高
サラバト解釈(与件文に探しに行く):少しややこしそうだが、できそうじゃないか?
→2問から始めよう。
第3問
D 社は、マーケット事業部の損益改善に向けて、木材の質感を生かした音響関連 の新製品の製造販売を計画中である。当該プロジェクトに関する資料は以下のとおり である
設問1
各期のキャッシュフローを計算せよ
答えるもの:キャッシュフロー。
サラバト解釈(与件文に探しに行く):これも落とせない問題だな・・
設問2
当該プロジェクトについて、(a)回収期間と(b)正味現在価値を計算せよ。なお、資本コストは 5 %であり、利子率 5 %のときの現価係数は以下のとおりである。解答 は小数点第 3 位を四捨五入すること。
答えるもの:回収期間と正味現在価値
サラバト解釈(与件文に探しに行く):難しくはないが、計算ミスが起きそうな気がする・・
設問3
<資料>記載の機械設備に替えて、高性能な機械設備の導入により原材料費およ び労務費が削減されることによって新製品の収益性を向上させることができる。高 性能な機械設備の取得原価は 30 百万円であり、定額法によって減価償却する(耐用 年数 5 年、残存価値なし)。このとき、これによって原材料費と労務費の合計が 何%削減される場合に、高性能の機械設備の導入が<資料>記載の機械設備より有利になるか、(a)欄に答えよ。(b)欄には計算過程を示すこと。なお、資本コストは 5 %であり、利子率 5 %のときの現価係数は(設問 2 )記載のとおりである。解答 は、%表示で小数点第 3 位を四捨五入すること。
答えるもの:取替投資の価値が高くなるのに労務費がどの程度削減される場合か?
サラバト解釈(与件文に探しに行く):結構難しそう。1番最後かな。
第4問
(設問1) D 社は建材事業部の配送業務を分離し連結子会社としている。その(a)メリット と(b)デメリットを、それぞれ 30 字以内で説明せよ。 (設問2) 建材事業部では、EDI の導入を検討している。どのような財務的効果が期待で きるか。60 字以内で説明せよ
答えるもの:知識的なものでの回答。
サラバト解釈(与件文に探しに行く):書かない選択肢はないからさきにやってもいいな。本文に根拠がある可能性はあるから少し後の方がいいかもしれないな?EDIについて記載はあるかな?
解答対応
事例Ⅳは主に本文との対応は1問だけが絡んでいきます。
今回は私が取り組んだ優先順位から説明していきます。
対応の優先順位付け
今回の問題対応では、優先順位づけを先に行いました。
まず、多くの受験生がとる可能性が高い第二問→本文解釈をした上で第四問→その後に経営分析の第一問を行い、最後に第三問という取り組み順序を先に設計しました。
そのため、この順序に沿って解答組み立てを説明していきます。
第2問
D社のセグメント情報(当期実績)は以下のとおりである セグメント利益情報あり。
設問1
事業部および全社(連結ベース)レベルの変動費率を計算せよ。なお、%表示で小 数点第 3 位を四捨五入すること。
答え:
建材=95.33%
マーケット=69.39%
不動産=3.52%
全社=89.09%
算出までの道筋:全て共通ですが、変動費率=変動費÷売上高 にて算出します。
この算出式で出せない問題も出ることがありますが、この問題はこれを答えるだけで十分でした。
設問2
期実績を前提とした全社的な損益分岐点売上高を(a)欄に計算せよ。なお、(設問1)の解答を利用して経常利益段階の損益分岐点売上高を計算し、百万円未満を四捨五入すること。 また、このような損益分岐点分析の結果を利益計画の資料として使うことには、重大な問題がある。その問題について(b)欄に30字以内で説明せよ
答え:
(a)4345百万円
(b)外部に管理コストの内訳情報が公開されてしまい、競争力に影響する。
→TAC解答である「異なる費用構造についての考慮が不十分であり、分析構造が低い点。」の方が答えをみてしっくりきました。
算出までの道筋:(b)に関しては、間違いに近いと思うので、(a)のみ解説します。
算出式は損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率です。問題文の中に「設問1の解答を利用して・・・」と記載がありますので、損益分岐点売上高=全社固定費474÷(1ー全社変動費率0.8909)となり、4344.63746という数字が導出されます。
設問3
次期に目標としている全社的な経常利益は 250 百万円である。不動産事業部の損 益は不変で、マーケット事業部の売上高が 10 %増加し、建材事業部の売上高が不 変であることが見込まれている。この場合、建材事業部の変動費率が何%であれ ば、目標利益が達成できるか、(a)欄に答えよ。(b)欄には計算過程を示すこと。なお、(設問 1 )の解答を利用し、最終的な解答において%表示で小数点第 3 位を四捨五入すること
答え:91.49%
算出までの道筋:3つの設問の中では最も難易度が高いですが、基本的な流れから説明します。
①利益達成の売上高=(目標利益+固定費)÷限界利益率に当てはめていく。
②5013.6=724÷X → 限界利益率X=0.14407212 →反転して変動費率=0.855592788
③マーケット変動費+不動産変動費=159.6 → 159.6+建材変動費Y÷5013.6=0.855592788となる。
建材変動費=413.00001
④建材変動費413.00001÷売上高4514=9.149314%となりました。
ちなみにTACの解答では、削減率という変化量を見ているため、計算のしやすさはTACの方が優位かと思います。
第4問
(設問1) D 社は建材事業部の配送業務を分離し連結子会社としている。その(a)メリット と(b)デメリットを、それぞれ 30 字以内で説明せよ。 (設問2) 建材事業部では、EDI の導入を検討している。どのような財務的効果が期待で きるか。60 字以内で説明せよ
答え:
(設問1)
(a)他社の配送事業の拡大も行うことで業績や利益の向上に繋がる。
(b)配送の優先的な融通などが利かせづらく、資源の共有も難しい事。
(設問2)
EDI導入は在庫情報も含めた検討であり、リードタイムに余裕が生まれ、在庫量が減少し、棚卸資産回転率の向上が期待できる。
算出までの手順:
(設問1)
別会社とすることでどんな特徴があるかを考えます。
小会社の事業は配送業務となります。空輸送などがあると配送効率が悪くなることは容易に想像できます。これは他社からも請け負えるようになれば効率が上がると考えられます。
一方でデメリットとしては、同じ資産を共有して利用したりするのは一般的には厳しいだろうということです。例えば小会社の車両を親会社が利用するなどは一般的に考えてNGでしょう。
(設問2)
EDIとは電子データ交換と記載されていますが、商取引を行うものです。
わざわざ本文に「受発注のみならず在庫情報についても・・・共有することを検討中」と記載されており、これを利用しないことはないだろうと予想しました。
第1問
(設問1 )D 社の前期および当期の連結財務諸表を用いて比率分析を行い、前期と比較し た場合の D 社の財務指標のうち、悪化していると思われるものを2つ、改善していると思われるものを 1 つ取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、当期 の連結財務諸表をもとに計算した財務指標の値を(b)欄に記入せよ。なお、(b)欄の値 については、小数点第 3 位を四捨五入し、カッコ内に単位を明記すること (設問2 ) D 社の当期の財政状態および経営成績について、前期と比較した場合の特徴を 50 字以内で述べよ。
答え:選択した指標
①悪化しているもの=売上高総利益率16.76%
②悪化しているもの=棚卸資産回転率3.13回
③改善しているもの=固定長期適合率111.68%
→確実に③は間違っています。。固定長期適合率は低い方が好ましい指標です。
指標選択した理由:
本文から中抜きがあり、業績圧迫の記載があるため、収益性は悪化の方向で考える。
不動産事業などの場合であれば棚卸資産に不動産が含まれるので、効率性は変動を考える?
不動産収益は安定的とあり、安全性が改善しているのかもしれない。
第3問
D 社は、マーケット事業部の損益改善に向けて、木材の質感を生かした音響関連 の新製品の製造販売を計画中である。当該プロジェクトに関する資料は以下のとおり である
設問1
各期のキャッシュフローを計算せよ
答え:
1期=−0.9
2期=6.1
3期=14.5
4期=9.6
5期=9.6
算出までの手順:各期のキャッシュフロー=各指標において税引前利益×(1ー税率)+減価償却費で算出しています。
設問2
当該プロジェクトについて、(a)回収期間と(b)正味現在価値を計算せよ。なお、資本コストは 5 %であり、利子率 5 %のときの現価係数は以下のとおりである。解答 は小数点第 3 位を四捨五入すること。
答え:
(a)回収期間=3.03年
(b)正味現在価値=12.63百万円
算出までの手順:
(a)回収期間=3年目までの回収で残額が0.3。0.3÷9.6=0.03125 これにて3.03125年が回収期間と算出。
(b)正味現在価値=初期投資額△20+各期キャッシュフロー(設問1の内容)×現価係数(問題に記載あり)=12.63百万円となる。
設問3
<資料>記載の機械設備に替えて、高性能な機械設備の導入により原材料費およ び労務費が削減されることによって新製品の収益性を向上させることができる。高性能な機械設備の取得原価は 30 百万円であり、定額法によって減価償却する(耐用年数5年、残存価値なし)。このとき、これによって原材料費と労務費の合計が 何%削減される場合に、高性能の機械設備の導入が<資料>記載の機械設備より有利になるか、(a)欄に答えよ。(b)欄には計算過程を示すこと。なお、資本コストは 5 %であり、利子率 5 %のときの現価係数は(設問 2 )記載のとおりである。解答 は、%表示で小数点第 3 位を四捨五入すること。
答え:時間内で納得のいく答えまで出ず。
算出までの手順:しかし算出の手順は模範解答を見ても誤りでないため、解説します。
①減価償却費の差額を算出
②税引後キャッシュフローの差額を算出
③原材料費と労務費の削減率
④③での算出した削減率がどこで分岐するかを算出。
②から長い計算が始まるんです。。本番では緊張感が・・・
解いてみての感想
解いてみての感想は「比較的解きやすく、計算ミスが許されない」でした。
事例Ⅳは唯一に近く、自分の成績が努力に比例して伸びやすいと思います。対策としては欠かせません。
以下の書籍で答え合わせできると思います。
事例ⅣはTACテキストの方が対策として勉強しやすいです。
ふぞろいも最新版が出るようですので、その場合はそちらがよいでしょう。
基本的に、事例Ⅳは最初の経営分析以外はほぼ模範解答を正解として勉強していいと思います。
唯一、正解が見える事例なので、ここの力を落とさないように勉強していきましょう。
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